ヒロコは高校時代の同窓会へ。
ひとしきり近況報告を終えると、思い出話で盛り上がる。
思えば、高校時代のヒロコにとっては、学校が世界の中心だった。
休憩時間や放課後をどう過ごすか、そればかり考えていた。
友達と仲良くなれるか、いつもそれが一番の悩みだった。
学校での自分が全てで、社会の中での自分の立場なんて、考えた事もない。
学校の「現代社会」の授業で習う社会という物も、
テストの時以外は自分と全く関係ない物だった。
選挙の仕組みだの、会社のしくみだの、
それが自分の生きている社会の姿だと実感する事はできなかった。
学校と家庭以外の社会の存在を考えた事もなかった。
今のヒロコは、社会を見るようになった。たぶん。
社会を見て、自分の役割を探している。
社会ではどういう人間が必要とされているのか、知ろうとする。
自分がどうすれば社会の役に立てるのか、と考える。
今のヒロコからすれば、高校時代の自分が何を考えていたのか、
あまりよく分からない。
どうして、あんなにしょうもない事で悩んでいたのか。
どうして、学校行事にあんなに一生懸命になっていたのか。
今となってはよくわからないが、高校という社会の中で、
自分なりに精一杯だった、という事はよくわかる。
久しぶりの高校時代の友達が集まると、その当時に戻った気がする。
たまにはそういうのも、いい。
帰りの電車で見掛ける、同窓会らしきおじさん、おばさん集団。
「あの時…やったなぁ」と話す彼らがやたら陽気な理由も、
わかったような気がしたヒロコだった。