┃ コラム 「恥ずかしい話」
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┃ 岡野 吾朗 2004/4/16
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以前、とても好きな人がいました。学生時代。22歳の時でした。
相手は2歳上の社会人の女性です。冬の始まる頃でした。その人
には付き合っている人がいて。自分の入り込む隙間なんて無かっ
たように思います。それがどうした、くらいの気持ちで無い知恵
絞って考えました。どうしたらインパクトある人間になれるかと。
た。想像上ではドラマ顔負けのシーンです。そんなこと考えてい
る時点で完璧に一人盛り上がりですね。
善は急げ、ってことであちこち花火を探して回りました。夏に花
火を売っていた店を片っ端から駆けずり回りました。でもどこを
探しても見つかりません。どの店員に尋ねても、「置いていない」
の一点張り。追い詰められた末に思いついたのは花火問屋に行く
こと。当時洋服が好きだったんです。ブランドのコレクションの
発表は季節が逆転しているじゃないですか。秋には春夏ものが発
表される、と言った具合に。だから製作元は絶対冬に花火を作っ
ていると思ったんです。
探しに探して辿り着いた店に、まんまと花火が積んでありました。
夏の風物詩も、冬になれば見向きもされないただの火薬です。埃
かぶって、シーズンの到来を待っておりました。その埃を見たと
き、自分の熱も冷めてしまいました。何か物足りない。自分にとっ
ては、常夏にヒートアップさせなきゃ意味無いんですよ。そんな
ちんたら花火やったって、夏の残飯処理みたいじゃないですか。
困っていたところ、飾ってあった花火大会の写真を見て思いつき
ました。「癇癪玉のやつを打ち上げたい」。そこから店主に交渉
です。というのもおこがましいほどの自己主張。筒と癇癪玉を売っ
てくれ、と。
そこで奇跡は起こります。ちょっと記憶が曖昧なのですが、癇癪
玉って6cm未満のものであれば、花火師の免許がいらないらし
いのです。とはいっても、基本的には免許持った人しか買えない
ですし、打ち上げる際には警察と消防署に届出を出さなければな
らないそうですが。でまかせ一発。まんまとその筒と癇癪玉を手
に入れたんです。
後は簡単。車をぶっ飛ばして、彼女を迎えにいき、川原に連行。
筒をしっかりと固定して、癇癪玉をセッティング。経験無いほど
長い導火線にドキドキしながら火をつけました。火薬の量がすご
かったのを覚えています。下までちゃんと火の粉が落ちてきまし
たから。ここが勝負!と思ったのも束の間。遠くの方からゆるい
ライトが。近所の人から通報があったらしく、警察が来たのです。
注意を受けて、もうムードも何もありません。しらけた感じで送っ
て終了しました。
その人とは現在でも年に数回程度連絡を取っています。メールレ
ベルですが。結局うまくはいきませんでしたが、良い体験でした。
向こうも花火のことを今でも覚えてくれています。そんなことを
してくれた人間はいなかったと言ってくれました。
どんなことにしても、頑張るってことは大事なことです。相手を
喜ばせるにはどうしたらよいか考えることは必要なことです。結
果はどうあれ、自分的にはとても満足しています。やるだけやっ
たし仕方ない、みたいな。物事なんでもそうですが、取り組んだ
後にそう思えることが大事だと思います。後悔しないコツは、と
りあえず一生懸命やることです。そうしたら結果がどうあろうと、
満足感が残るものです。ある意味、自分は目標を達成しましたか
ら。一生記憶に残ると言ってくれています。まあそれは警察に捕
まりそうになったからかもしれませんが・・・。