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雑用力・実務力

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┃ コラム 「
雑用力・実務力
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取締役営業統括部部長   清水 有高  2005/7/14 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

新卒でお世話になったジョイブで丸四年以上必死で頑張った後、先月から新し
い会社でスタートを切りました。昔からの夢であったアニメーション業界に入
ったのです。業界随一のプロダクション・アイジーに転職しました。

そこで改めて仕事について考え直す機会が多く、こうしたことをジョイブ通信
の読者にも伝えていきたい、と社長に話したところ、時々出すことになり
ましたのでこれからも楽しみにしていてくださいね。

転職したてだと、まだ朱に染まっていないので『その会社の悪い部分』が良く
見えるものです。あの人はここが悪い、このシステムはここがなっていない。
なぜそれが良く見えるかと言うと、まだ日々の業務に忙殺されていないから、
暇だから良く見えるだけなのです。

実際に働き出すと、悪いと思っていたシステムも悪いなりにだましだまし現場
で使わざるを得なかったり、あの人のここはまだまだだな、と思っていても、
自分も忙殺されると同レベルかそれ以下になってしまったりするものです。こ
れでは実行力の無いただの評論家に過ぎません。しかも、評論家で実行力もな
ければただの給与泥棒です。

じゃあ、そんな時にどうするのか?殆どの人は日々の業務に忙殺されて『朱に
染まって』いきます。そうではなくて、『ん?ここはこうしたほうがいいぞ』
と思った部分を全部書き出しておいて他の業務を人並み以上にこなしながら、
その改善点をすべて実行していくのです。

そうすることで、組織に悪い意味で染まってしまうことなく、常にフレッシュ
な状態を保ちながら仕事ができます。人間とは怖いもので、最初のうちはここ
が悪いな~~と見えていても、それをきちんと書いて覚えておかなければすぐ
に忘れてしまうのです。

改善点はどんな細かいことでもかまいません。コピー取りのやり方といった小
さな業務レベルの部分から会社の方針や、組織の問題までさまざまです。その
一個一個を忘れず書きとめ、きちんと実行していくのです。当然、悪い部分が
放置されていたのはそれなりの理由があるわけで、とっても改善にはパワーを
使います。でも、だからこそ価値があるのです。

現在、私が書きとめた改善点は

小さな業務レベル・自己の仕事の改善点で74個
会社の方針にかかわる戦略レベルでのアイディアや改善点、提案で12個

他にも殴り書きのメモをまとめると100近くになるでしょう。これら一つ一
つをきちんと改善していくのです。これだけのアイディアをためるのにかかっ
た時間は入社して17日目です。そういう意味ではフレッシュな視点というの
は大変重要です。

勤務初日で私が気がついたのは『コピーのとり方』でした。たまたま私が座っ
た席がコピー機の近くだったのですが、そのコピー機に新人はともかくとして
部長クラスの幹部社員までコピーをとりに来るのです。それもかなりの枚数。
こんなことは新人の仕事なのに、どうして幹部社員が???と思った私は原因
を考えました。

その原因は『新人に気軽に頼む雰囲気がなかった』だけなのです。人の上に立
ってみると分かることですが、人に何かを指示したり、頼んだりするのは案外
気を使うし、しんどいものです。ついつい、簡単なことだから自分でやってし
まおう、と思ってしまうのです。でも、それではだめなんです。

部長クラスが一時間当たり会社に対して1万円の利益を生み出していると仮定
して、新人は一時間当たり2~3000円程度だとします。もしかしたら赤字
かもしれません。そうしたら、経営的視点で見ると、部長がやろうが新人がや
ろうが同じような仕事は『部長がやってはいけない』んです。

じゃあ、上司が仕事を頼みやすくするにはどうすればいいだろう?そう考えて
とりあえず私は『コピー取りないですか?』と聞いて回りました。これで一日
4時間コピー取りをしていたのですが、コピー取りをしながら思いついたのが
『コピー取り券』を作ろう、と言うことでした。

人にものは頼みにくいだろうから、コピー取り券というのを作ればいい、コピ
ー取り券には

・コピーの依頼者
・何枚必要なのか?
・いつまでに必要なのか?

と言う簡単な項目があり、それを書いてコピーしてほしい原本といっしょに私
のディスクに作った『コピー依頼箱』という物に入れておくのです。これで私
はいちいち人にコピー必要ですか~~と聞いて回る必要もないし、向こうも気
軽に頼めるようになる!そう考えて早速実行しました。

(実際に私は始業の4時間前には出社していますからそれぐらいの雑務はみん
なが出社する前に終わらせています。)

こういう細かい実行には実はかなりのパワーを必要とします。でも、こういう
ことをこつこつやることが大切なのです。特に人は面白い仕事をやろうと思っ
て、簡単な雑用や単純作業から逃げる傾向があります。

転職、新卒に関係なくやめる理由として挙げられるのが『こんな仕事をするつ
もりだったのではない』というものです。でも、視点を変えて思いっきり雑用
部分を請け負ってみてください。

そうすると仕事の全体像も見えやすくなりますし、何よりも社長や経営者クラ
スの幹部社員が『あいつは見込みのあるやつだ』ということでドンドン面白い
仕事を振ってくれるようになり、社内でも一目置かれる存在になれます。そう
なったら、今度は『雑用なんてせず、もっと重要な仕事をしてください』と言
われるようになります。

とりあえず、私はなんでも実行だと思い、転職した初日はコピー取りを4時間
やりました。自分より年下の新卒の方々に対しても先輩だと認識し、徹底的に
敬語を使いました。頭も下げました。

自分から率先して雑用はないですか?
何でもやりますからドンドン言ってくださいね、
といって雑巾がけから掃除機、荷物運びも何でもやりました。
頭を下げて徹底的に謙虚で、でもフルパワーで頑張りました。

今で5週間以上が経ちました。
そこまでやっていると社長からも信頼を受けます。
いい仕事もドンドン回ってきます。
中途半端なプライドは捨てました。
前職で取締役であったことも内緒にしてもらい、
徹底的に下っ端扱いされました。

不必要なプライドは捨てて徹底的やりました。それよりも謙虚になることのほ
うが本当に大切です。自分はインターン生なんだ。位の気持ちで本気で頑張れ
ば周囲は徐々に認めてくれます。中途半端なプライドは自分の実力に不安があ
るからだと押し殺し、ひたすら自分を信じて突き進めば道は開けるようです。

若いうち、それも新卒やインターンの間だとついつい『面白そうな仕事』『見
栄えのよさそうな仕事』『一見かっこよさそうな仕事』に惹かれがちです。そ
れの気持ちももちろん分かります。

たとえば広告代理店にインターンシップで入って『さあ頑張るぞ!』という時
に初日の仕事が『じゃあ、何もすることがないからとりあえず一日中コピー取
りしといて』だとどうでしょうか?

憧れのゲーム会社に入社した初日に『何もやることがないからモニター磨きで
もやっておいて』と言われたら??

商社の企画部に入って最初の仕事が『コピー取りと古い企画書の処分で3日つ
ぶれる』とかだと、、、もう、やる気は急降下!モチベーションはドンドン下
がってしまいます。そして思う事は

『こんな仕事をするために入ったんじゃない』

という気持ちです。そしてその気持ちは

『こんな仕事をする職場にはいたくない』
『もっといいところがある』

という気持ちに繋がります。
その気持ち、とってもよく分かります。

でも、少し視点を変えて『雑用は仕事力を鍛える場所』として捉えてみてくだ
さい。コピーをとったり、パソコンを操作したり、整理整頓をしたり、そうい
った細かい仕事を鍛える場所が雑用なんです。これを真剣にするかどうかでか
なりビジネスマン人生が変わってきます。

というのも

『面白そうな仕事』
『見栄えのよさそうな仕事』
『かっこよさそうな仕事』

というのは実際に存在します。しかし、実はどんな仕事も『細かい作業の積み
重ね』というのも真実なのです。どんな仕事も

1.アイディア、発想が生まれる
2.それが企画、計画レベルにプランニングされる
3.実行される
4.仕事が完成する

という手順は変わりません。クリエイティブな仕事、企画職や、商品開発、広
告なども、雑用や細かい作業でないのは最初の『1.アイディア、発想が生ま
れる』だけなのです。これを作業時間軸に簡単に直してみると

1.アイディア、発想が生まれる 数秒~数時間
2.それが企画、計画レベルにプランニングされる 数十分から数時間
3.実行される 数時間から数ヶ月、場合によっては数年
4.仕事が完成する

という形になります。学生の皆さんは消費者の立場としてビジネスに接してい
るため、常に1~3を終了して4番目しか接していません。ですが、ひとつの
広告、ひとつの商品、ひとつの計画が完成するまでには膨大な作業積み重ねが
必要なのです。

仕事で成功をしたい人はここを間違えないことです。良く、アイディアや発想
力が重要だと思われておりますが、

2.それが企画、計画レベルにプランニングされる
3.実行される

をスムーズかつ他よりもスピードで勝りながら処理をする『雑用力、実務力』
が社会では求められています。単なるアイディアマンがビジネスで成功しない
理由がここにあります。ビジネス社会では発想は良い、アイディアはいいが実
現しなかった企画など星の数ほどあります。それは雑用力、実務力がなかった
ためです。

そして、世の中で成功しているビジネスマンほど『雑用力、実務力』がとても
高いです。事務処理能力などは地味であまり見向きもされませんが、実はかな
り重要な能力なのです。

また、恐ろしいことにこの能力が積極的に鍛えられるのは『新人時代』だけな
のです。更に恐ろしいことにこの『新人時代の雑用の重要性』を理解している
人は非常に少ないのです。

ただ、裏を返せばここでしっかりと鍛えておけば、長いビジネス人生を進める
上で有利なスキルをひとつ手に入れることができます。更に、このスキルを身
につけている人は少ないので、上司からも重宝がられます。

『人の行く裏に道あり花の山』という諺があります。多くの人が行かない裏道
にこそ、意外な花見の場所があるという意味ですが、多くの人がつまらない雑
用として捉えている仕事にこそ、ビジネスのチャンスが潜んでいるものなので
す。

ですので、これから新卒で入ったり、インターンシップを開始する人たち(転
職したての人もありですね)は是非この『雑用力・実務力』を鍛えまくってく
ださいね。私も転職を良い機会とし、新人の気持ちに戻って再度鍛えなおしま
す!

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2005年7月14日 15:32に投稿されたエントリのページです。

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